2015年9月28日月曜日

堂島薬師堂のお堂はなぜ超モダンなのか



ども、編集長のルイスです。

あんまり用事はないのだけれども、たまには行く西梅田。
行けば、本屋好きなのでジュンク堂にも行くわけだけれども、ここは広すぎて、なにがどこにあるのかわからん(笑)

さて、ジュンク堂が入っているアバンサ堂島の裏側というか北側に、サッカーボールみたいに多角形の矩形を貼り付けたドーム状の全面鏡張りのような建物がありますな。あの、核シェルターか!と言いたくなるやつね。

あれ、お堂です。
ご存知の方も多いでしょうが、堂島薬師堂ですな。

まだ、堂島が開拓されるまえから、ここは薬師堂があったといいます。
そもそも、堂島の名も、ここにお堂があったから、というのが由来になっているという説もあります。
そのお堂がですね、開発やら再開発やらを経て、今、未来チックな意匠を纏って、この地に安住されているのですね。

調べてみたら、1400年前から、この薬師さんはいらっしゃるらしいですな。ということは、聖徳太子とか推古天皇とか、そういう時代じゃないですか。
その時代から管轄が変わっていないとすれば、法相宗か華厳宗ということになるのですが、そこに当たりをつけて調べてみたら、やっぱりそうで、法相宗の総本山である奈良の薬師寺さんを本山とするお寺さんなのでした。

節分のお水汲みのときも、薬師寺からお坊さんがたくさん来られて、法要を営んではります。
その話は、今年の2月にブログで書きました。

さて、法相宗というのはなかなかおもしろい考えかたをする教えでして、世界は普遍的にひとつだけあるのではなく、10人いれば10の世界があって、つまりは、人が認識している世界はすべて人がつくり出したものである、とする考えです。
人はみんな共通の世界に住んでいると思っているのだけれども、じつはそんなことは全然なくて、モノの見方、感じかたが千差万別であるように、人の数だけ世界があるのだ、と。

たとえば、アフリカの西海岸の名の知れない島で大災害があったとします。
でもそれは、名の知れない島なので、ニュースとなって日本には伝わってこない。
すると、日本に住む僕は、その島のこともその大災害のことも知らないまま過ごすわけです。
これはもう、僕にとっては、その島もその大災害も、ないのとおなじことです。
でも、その島に住む人たちにとっては、大問題なわけ。
そういうふうに、僕と彼とでは見えている世界は違うし、そもそも世界が違うということです。

難しい言葉で「人人唯識」というのだけれども、これは、20世紀になって西洋哲学の世界でハイデッガーが示した「存在と時間」や「認識論」とピッタリ重なってくる考えかたですな。
三蔵法師がインドから持って帰ってきて、それが日本に伝わったモノの考えかたです。

ま、教義はともかくとして、ここに今、薬師さんがいらっしゃるわけです。
薬師さんは、手に薬壷を持っていることでもわかる通り、病気を治してくれる如来さんなのですが、病気が転じて、現世利益を期待する向きに人気のある如来さんです。死んでから天国に行けるとかはともかくとして、今、なんとかしてくれ!と願ってる人に人気のスターです。

堂島といえば長らく米相場の立ったところですから、ゼニ、ゼニ、ゼニ、の、それこそ唯物論の権化のような場所、今でいえばシティかウォール街みたいなもんなので、薬師さんが人気者で、大切にされてきたことも、さもありなんです。

かつて、この地に毎日新聞社があったころ、戦後、毎日新聞社が増築した際に、敷地内に祀られていた薬師堂を敷地東向かいの社有地に移し、その後、堂島アバンサを建設するにあたり、奈良の薬師寺と地元の堂島薬師堂奉賛会からの要請もあって、元の場所に戻ったのだそうです。

そのとき、ミラーガラスを使ったドーム型のモダンなデザインのお堂に生まれ変わりました。ミラーガラス127枚を組み合わせた直径7メートルのドームです。

ここの薬師さんは、正式には薬師瑠璃光如来といい、瑠璃光を纏っているそうです。ならば、ということで、瑠璃光の意味するところの神々しい光というか、そういうものをイメージして、ミラーガラスのお堂になったんでしょう。
奈良にある新薬師寺のお堂にも、今ではステンドガラスが嵌め込まれてるし、そう突飛な発想だとも、僕は思いません。

日本における仏教は、一般的にイメージする宗教というよりも、民主主義や社会主義といった、世のなかのシステムを構築するためのものの考えかた、文明などが総体として伝わってきているので、お寺さんの伽藍等も、最新の建築技法や土木が導入されてきました。そうした技法も含めて仏教だったので、日本の仏教のお寺さんは、いつだってモダンだったはずだし、その伝でいくと、この核シェルターのような超モダンなお堂は、しっかりとその伝統を継承しているのだと、僕は思います。


そうそう、お堂の周辺は池になっていて、ちゃんと蓮もありました。さすが☆