2015年9月17日木曜日

阪急三番街バスターミナルに日本交通のバスが乗り入れられるわけ

タイトルを見て、はあ? と思われる方。あなたは正常です。
よく意味がわかりませんよね。それで普通です。
でも、バスマニアから見たら、少し変なんです。
今日はそんな小ネタをおはなししましょう。



1)そもそも高速バスとは


阪急三番街バスターミナルは、阪急梅田駅の1階にあり、阪急バス・阪急観光バス(阪急バスから、高速・貸切部門が分社化された会社です)の高速バスのりばとして機能しています。主に、信州・北陸方面を中心に、遠くは新潟、南に行けば四国や博多までの路線をカバーして、大阪でも有数の利用者の多いバスターミナルです。旅行好きの方とか、仕事で出張が多い人は使われたこともあるかと思います。

本題のに入る前に、高速バスの運行の説明が必要ですので、さらっと。
高速バスを運行するためにあたっては、まずは国土交通省からの路線の認可(現在は許可)が必要です。そのためには、運転士とバスの確保はもちろんですが、終点に操車場と宿泊所が必要になってきます。大阪方は、阪急バスの自社の車庫などの設備を使えばいいのですが、地方都市の終点はそうもいきません。まずは、その都市に土地を確保する必要があります。バスの車庫はかなり広い面積が必要なので、それらを確保してから、必要な操車設備などを設置しなければなりません。かなりお金が必要ですね。
しかし、運行しても需要がなければ撤退しなきゃならないわけで、そうなると、せっかく確保した車庫用地も宝の持ち腐れ。土地買収資金がなくなるわ、毎年固定資産税がかかるわで、会社のバランスシートを悪くしちゃいます。
そこで登場するのが地方のバス会社。地方のバス会社と手を組むことで、その会社の車庫が使えるというわけ。「共同運行」という方式で、1路線を双方(もしくは複数)の事業者で運行するのです。用地確保するリスクを減らせるわ、運転士もそこで休憩や宿泊ができるし、整備もきちんとできます。地方のバス会社も、大阪に乗り入れできるというメリットがあるので、双方利害関係が一致して、80~90年代にかけて、夜行高速バスのブームが巻き起こります。(高速道路網が整備されてきたというのがいちばんの理由ですが)

2)日交ができる強み

さて、本題の「阪急三番街バスターミナルに日本交通のバスが乗り入れられるわけ」ですが、日本交通。大阪と鳥取などに会社を持つ大手バス会社で、大阪と鳥取を結ぶ高速バスのシェアはトップクラス。というか、ほかに競合する会社もほとんどなく、路線をほぼ独占するという会社であります。
大阪と鳥取に自社の路線があるため、先ほど話した「両都市に車庫と宿泊所が必要」という条件を全て自社で満たしているので、単独運行が実現出来るのです。


そうです。このため大阪-鳥取間には、阪急バスは乗り入れていないのです。今も昔も。


昔は共同運行していたけれども、阪急バスが撤退しちゃって地方のバス会社単独運行する路線も実際にあります。しかし、それも昔のよしみで三番街に乗り入れているだけであって。まあ、利用者の利便もあるし、阪急の車庫を(使用料を払って)借りていたりするので問題はないのです。でも、日交の場合は違う。なんでか。。。。。


日交と阪急は資本関係があるんだ。>いいえ、ありません。
日交と阪急は仲がいいんだ。>まあ、仲は悪くはありません。が、そんな他人に自社の土地建物を貸すほど民間会社は甘くありません。
日交が阪急に使用料を払っているんだ。>まあ、そうなんです。三番街で日交のバス乗車券を売っていますから、賃貸料は発生しているはず。


でも、何故そんな資本関係のない会社に、阪急は乗り入れさせているのでしょうか。それには阪急梅田駅の変遷がかかわってきているのです。


3)3ヶ月の勝負~プロジェクトX

阪急梅田駅は、乗客の増大と共に、北へ北へと大きくなりながら移動してきたのは、このエントリでもご紹介しました。

つひまぶ: 阪急村の歴史
http://tsuhimabu.blogspot.jp/2015/07/blog-post.html

昭和40年代、市街地のドーナツ化現象で通勤客の需要に耐えきれず、国鉄のガードよりも南にあった梅田駅は、10両編成も止まれる現在の新しい駅に移転することになりました。
当然、駅を建設する場所は用地買収が必要なのです。
しかーし、大阪の一等地梅田駅周辺の地価。まあ、高いわけですよ。そこへ、新しい駅ができるとなれば、当然地価はさらに高騰、うなぎ上りなわけですよ。阪急としては、なんとしてもそれを阻止しなければならない。阻止するには、極秘裏に事を進めなければならないわけです。
用意周到に事を進め、梅田駅の移転拡張のプレスリリースから、わずか3ヶ月で用地買収を完了させるという、離れ業を成し遂げるのです。今でもNHKのプロジェクトXがあれば、1本番組ができるくらいの緻密なプロジェクトだったのですよ。

その用地買収した中には、小さな小さなタクシーのりばがあったのでした。タクシーが2~3台止められるスペースに、詰め所のような建物がぽつんとあるような、本当に小さいのりばで、そのタクシーのりばは日本交通が所有していました。

こちらは北新地の相互タクシーのりば。こんなのりばがあったのかも


もう、おわかりですね。
タクシーも運営している日本交通(というか、大阪でいちばん大きいタクシー会社だ)は、同じ交通事業者として、梅田駅の拡張計画が発表されると、進んで用地買収に協力して、格安で自社用地を提供したようです。ただし、梅田駅にバスターミナルを設置するのは知っていたようで、そこに乗り入れさせて欲しいとお願いしたようなのです。阪急としても円滑に事を進めるためにその条件をのんだようで、三番街のバスターミナル完成後、そこに日交のバスが乗り入れるようになったというわけ。


小ネタと言ってましたが、かなり説明が長くなっちゃいました。
会社の歴史もひもとくと、こういう話が出てくるので面白いのですよ。これは、日交の中の人から聞いた話。
まあね、別に利用する会社がどうとかは私たちには関係ないのですが、こういうネタは小ネタとして引き出しの中にでも入れといてください。ネタに困ったときにどうぞお使いくださいませ。