2015年9月10日木曜日

中秋の名月は観月会ではないのです・・・


中秋の名月は、いろんなところで観月会が催されています。
今年は、
927日です。
 大阪天満宮では毎年、中秋の名月に秋思祭という神事が斎行されます。

900910日、宮中清涼殿における重陽の後宴席で、菅原道真公は勅命により「秋思」の詩を詠まれ、醍醐天皇より御衣を拝領しました。
901年、菅原道真公は藤原時平の讒言によって、九州太宰府権帥に左遷され、都を離れました。
都の華やかさとは異なり、配所では寂しく、衣食もままならぬ日々を過ごしました。
一年後、菅原道真公は、都を懐かしみ、天皇をお慕いし、恩賜の御衣を捧げて追憶の漢詩「九月十日」を詠みました。

【漢詩】去年今夜侍清涼  秋思詩篇獨断腸
    恩賜御衣今在此  捧持毎日拝餘香

【通訳】思えば去年の今夜は清涼殿で、陛下のおそば近くお使えしていた。 その時「秋思」という勅題を賜り、詩を作ったが、今これを思うと今昔の感に堪えず腸もちぎれる思い である。
その時、陛下からたいへんおほめにあずかり、御衣を賜ったのであるが、今このように都を遠く離れていて も、恩賜の御衣は毎日捧げ持って、移り香を拝しております。
 
この故事に習い、菅原道真公を追慕し、斎行されるのが秋思祭です。
この詩を詠んだ翌902年、失意の中で菅原道真公は薨去されました。





本殿前、薄明りの中、鈴虫の音が聞こえる静寂の中で、粛々と斎行される天神祭とは対照的な神事です。
天神祭キーパーソンの神童が、神前に鈴虫を献上します。献華、献香、献茶、先述の漢詩も吟じられ、人長舞など平安の幽玄な世界に引き込まれます。
その後、人長・楽師を先頭に観客も本殿を一周します。

18時~21時頃まで長時間に渡る神事ですが、本来は神様に捧げるもので一般には解放していない神事を、体験できる機会です。
中秋の名月は観月会ではない、ご理解いただけましたでしょうか?