2014年6月30日月曜日

子育て中のお母さんに届け!その名も「うりぼうメール」!

 北区の北東部(地下鉄天神橋筋六丁目駅の北東部)に、豊崎東という緑豊かでおだやかな住宅地域があります。ここは、連合振興町会でつながる一昔前の古い街並みと、昭和60年に大阪まちなみ賞「大阪市長賞」を受賞した淀川リバーサイドタウンさざなみプラザが混じり、自然が豊かで景観の良い地域ですが、賃貸住宅が多いため、ご近所付き合いが少なくなりがちな地域でもあります。

 そんな中、豊崎東地域では、「人は人でしか守れない」を信条に「地域見守りネット」を結成して支援の輪を広めたり、街頭犯罪情報などを配信する「大阪府警安まちメール」を参考にして豊崎東地域の街頭犯罪情報などを配信する「とよひが安全メール」を地域独自で運用したりするなど、地域のみんなが助け合って安心で安全なまちづくりを行っています。

 今回は、豊崎東地域が、「うりぼうメール」※と呼ばれるメーリングリストシステムを活用して、子育て中のお母さんを支える取組みをご紹介します。

 ※「うりぼうメール」の正式名称は、「豊崎東『うりぼうクラブ』お知らせメール」

●「うりぼうメール」を始めたきっかけ
 豊崎東地域では、豊崎東地域活動協議会健康福祉部が「とよひが・うりぼうクラブ(以下「うりぼうクラブ」)」と呼ばれる子育てサロンを、毎月第3水曜日(8月と1月はお休み)に豊崎東福祉会館老人憩いの家で定期的に開催しています。「うりぼうクラブ」は、毎回25組くらいのお母さんが参加してワイワイ楽しくやっていますが、参加者との連絡手段がないため、お葬式などで会場が急に使えなくなったり悪天候で中止したりした場合に、無駄足を踏ませてしまうという悩みがありました。

 子育て中のお母さんは、抱っこひもで子どもを抱っこしたり、ベビーカーに子どもを乗せたりして移動するので、自宅から会場に行くだけでも一苦労です。かといって、「うりぼうクラブ」には、総勢60組くらいの人が参加している(「うりぼうクラブ」は地域を限定していないので、豊崎東以外の地域や、遠くは都島区、淀川区からも参加される人がいる)ので、一人一人に連絡するのは、とてもじゃないけど無理です。

 そこで、先ほど紹介した「とよひが安全メール」で使われているメーリングリストシステムを「うりぼうクラブ」用で使うことができないかと考え、専用アドレスをつくり「うりぼうメール」として運用することになりました。

●豊崎東地域の子育て情報も配信します
 平成19年に始まった「うりぼうメール」、当初は「うりぼうクラブ」が中止になった場合のお知らせ用として活用していました(そのため、配信は「うりぼうクラブ」前日の午後5時以降に行われます)。

 しかし、それだけではもったいないということで、今では「うりぼうクラブ」の内容や、子どもが遊べる地域イベント、盆踊り、子ども服やおもちゃのバザーなど、豊崎東地域の子育て情報全般を配信しています。また、豊崎東地域が関わる北区全体の情報も配信しています。「うりぼうメール」の配信内容は、こんな感じです。

 

 こんな顔文字もあり、温かみがあります。

 

 この「うりぼうメール」、今では120人くらいの登録があり、一度登録したら配信停止をする人はほとんどいません。「うりぼうクラブ」に参加する人は60組くらいなので、半分は「うりぼうクラブ」を卒業した人(うりぼうクラブは、だいたい0歳~2歳くらいの子どもが参加するので、3歳以上の子どもの親)です。そういうこともあってか、リサイクルバザーを開催するために「うりぼうメール」で用品回収の依頼を配信してみたところ、たくさんの協力を得ることができたそうです。「うりぼうクラブ」で子どもにプレゼントするお菓子などの費用は、行政からの補助金で負担することができないので、バザーは貴重な収入源となります。まさに地域の助け合いです。

●運営も助け合いです
 このように好評な「うりぼうメール」ですが、配信内容に間違いがあれば誰も信用してくれません。先ほどのバザーの件もそうですが、信用されて初めて受信者は行動してくれます。

 そこで、「うりぼうクラブ」では、運営スタッフ全員で配信内容を確認し合って、全員がOKをしたら「うりぼうメール」を配信するようにしています。ただ、運営スタッフが全員集まって確認する余裕はありませんので、携帯メールでやりとりをしながら配信内容を確認しています。手間はかかるけど、配信内容に間違いは許されない。そして、その責任を特定の人に追わせたくない。「うりぼうメール」の運営も助け合いです。

 そうして確認された後、運営スタッフの一人である川瀬さんが配信処理を行います。本当は、配信処理も全員で交代しながらやったほうがよいかもしれませんが、機械が得意でない人が多いことから、川瀬さんが担当しています。ということは、言い過ぎかもしれませんが、川瀬さんがいなくなったら「うりぼうメール」は終了してしまうのでは...。

 そこで、川瀬さんにそのことを聞いてみたところ、「いずれは次世代の人に引き継がなければならないと思っている。だけど、メーリングリストシステムそのものを引き継ぐのではなく、そのときそのときの人がやりやすい方法でやってくれたらいい。今の若い子は、LINEなり、Facebookなりで情報発信するのがいいかもしれない。私たちの世代は、メールで十分だけどね(笑)」と柔軟なご意見をいただききました。

 それぞれの世代がやりやすい方法で活動する。取組みが長続きする秘訣だと思います。




●地域活動は理想ばかり求めて活動するものではありません
 「うりぼうクラブ」をはじめ、子育てサロンが抱える悩みの1つとして、「子育ての悩みを独りで抱え込んでいるにも関わらず子育てサロンに来ないお母さん」をどうやって支えてあげるのかという問題があります。児童虐待などのニュースを見るたびに、なんとか救えなかったのかと胸が痛みます。

 そこで、運営スタッフさんに、「『うりぼうメール』を使って、情報を発信するだけでなく、相談にのってあげるようなことはできないのか」と、失礼ながら思ったことを素直に聞いてみました。すると、「正直な気持ちとして、独りで子育ての悩みを抱え込んでいる人のために、メールで話を聞こうかという思いはあるけど、ボランティアという立場で、そこまで踏み込むのは行き過ぎかなと思っている。相談された側も不安になるし、責任もとれない。だからこそ、一歩勇気を出して『うりぼうクラブ』に来てほしい。来てくれたら、みんなで支えてあげられる。」と思わずハッとするご意見をいただきました。地域活動を続けていくためには、この感覚が大切なんだと。踏み込み過ぎず、自分たちができる範囲で活動する。地域の活動は、理想ばかり求めて活動するものではないと。 

 過去のブログ(http://tsuhimabu.blogspot.jp/2014/04/blog-post_24.html)で、「地域で活動している人は、単純に好き好んでやっているわけではない。そういうのが好きだからやっているなんて言ったら絶対にあかん!!」というお言葉をいただいたと紹介させていただきました。そして、今回は「自分たちができる範囲で活動する。理想ばかり求めて活動するものではない」ということを学ばせていただきました。まだまだ地域活動をされる方々の想いを理解しきれていませんが、今回の取材を通じて理解が一歩前進したような気がします。


 「うりぼうクラブ」のスタッフのみなさん、そして参加者のみなさん、取材のご協力ありがとうございました。




●おまけ
 豊崎東の子育てサロンは「うりぼうクラブ」と呼びますが、これは、いのしし年に子育てサロンが始まったことから、このような名前になりました。